発明原理 No.35 | 状態(気体、液体、固体)や密度を変える

液体金属でできたアンテナ 飛行機用
航空機にはたくさんのアンテナが搭載されます。扱う電波の波長によって必要なアンテナの長さが違うためです。しかし、常にすべてのアンテナを使用しているわけではないので無駄が多いです。
そこでパイプの中に液体金属を入れてアンテナとして使うことが検討されています。液体金属の出し入れでアンテナの長さを変えるのです。融点の低いガリウムとインジウムの合金などが使われます。
液体金属の出し入れにはポンプが使われることが多いですが、ポンプを使わない方法も考えられています。それは、電圧を加えることによる液体金属の濡れ性の変化を利用したものです。電圧の極性を変えることにより、液体金属の表面に酸化膜ができたり取り除かれたりします。液体金属とパイプの濡れ性が変化し、液体金属がパイプを上がったり下がったりするのです。

泡の力で燃費改善 タンカー
タンカーの燃費を改善する話です。
船が進むときに水から受ける抵抗は主に造波抵抗と摩擦抵抗です。ゆっくり進むタンカーなどでは摩擦抵抗が多くの部分を占めています。
そこで、摩擦抵抗を減らすための様々な工夫が考えられてきました。例えば、船体に塗る塗料に摩擦抵抗を下げる効果のある成分を含ませるという方法です。この成分は徐々にまわりの水に溶け、船と水との摩擦抵抗を下げます。

他にはマイクロバブルを使う方法があります。
船の先端からマイクロバブルを放出するのです。すると船体がマイクロバブルで覆われ、船体と水との摩擦抵抗が低下します。
摩擦抵抗が下がる理由は、以下の2つだと考えられています。
- 水が空気を含むことにより見かけ上の密度が下がる
- マイクロバブルによって、摩擦抵抗を上昇させる原因となる乱流の発生が抑えられる

海上技術安全研究所報告
https://www.nmri.go.jp/service/repository_data/PNM21100302-00.pdf
ながれ
https://www.nagare.or.jp/download/noauth.html?d=20-4-3.pdf&dir=107
加熱で剥がせる接着剤
「剥がしたいときに剥がせる接着剤が欲しい」というニーズに対し、加熱で剥がせる接着剤があります。
接着成分が熱可塑性であれば加熱により軟化して剥がしやすくなりますが、冷めたら元の状態に戻ります。そのため、このままでは熱い状態で剥がす必要があり危険です。
そこで、接着剤に発泡剤を混ぜておき、加熱により発泡させるという方法がとられます。接着剤を発泡させてスポンジ状にし、強度を失わせるのです。

接着剤を発泡させることによって密度を下げる、という解決方法です。
接着剤にあらかじめ熱膨張性マイクロカプセルを混ぜておきます。熱膨張性マイクロカプセルとは、樹脂の殻の中に炭化水素を含んだものです。加熱すると樹脂の殻が軟化するとともに内部の炭化水素が気化して膨らみます。

株式会社クレハ
https://www.kureha.co.jp/business/material/microspheres.html
掴むものに合わせて形が変わるロボットハンド
ロボットがワークをつかむ部分をハンドと言います。このハンドはワークの形状に合わせて作られることが一般的ですが、ワークが変わる度にハンドを作り変えるのは大変です。そこで、帝人エンジニアリングはワークの形に合わせて自在に変形するハンドを考えました。ビーズを詰めた袋と、真空を使います。

袋にビーズを詰めただけでは、袋の形は好き勝手に変わってしまいます。これではワークを掴むことはできません。この袋をワークに押し付けた状態で袋の内部を真空にすると、袋の形が固定されます。これで、ワークを掴めるようになります。

真空を使うことによってビーズの凝集状態を変える、という解決方法です。「てるぷよハンド」という名前で実用化されています。
帝人エンジニアリング株式会社
https://www.teijin-eng.co.jp/products/telpuyohand/
火事の時だけ断熱材に変わる 熱で膨らむ断熱材
住宅火災の際に、炎が建材の隙間を通って燃え広がってしまうことがあります。これを防ぐために、熱で発泡するゴムが使われています。
熱膨張材と呼ばれるこの製品は、200℃程度で発泡を開始して隙間を閉塞します。熱を受け続けると炭化し、炎の侵入を防ぎます。

発泡させることにより膨張させる、という解決方法です。
株式会社十川ゴム
https://www.togawa.co.jp/uploads/2011/10/9ad9dcb80c95c6769b4c8e751468a80bb3025996.pdf