発明原理 No.34 | 後で除去できるものを仕込んでおく

溶ける補強材

薄い布に刺繍をする際、布がゆがむことが問題となる場合があります。そんなときは、水で溶かすことができる補強用の布を接着してから刺繍します。

刺繍で使われる、水溶性接着芯を使った補強
出典:https://www.brother.co.jp/product/hsm/special/seesew/settyakushin_a/index.aspx

刺繍が終わったら、水洗いすることで補強用の布を取り除くことができます。後から除去できるものを仕込んでおく、という解決方法です。

同じアプローチは3Dプリンターにもみることができます。

3Dプリンターで複雑な形状をつくる場合、製作中に一時的に形を保持するためのサポート材という部材が必要になります。このサポート材は製品として使うときは不要なので、最後に除去する必要があります。従来は、手作業で除去することが一般的でしたが、複雑な形をした製品内部にあるサポートを取り除くことは容易ではありませんでした。

水溶性のサポート材を使った3Dプリンタによる造形
出典:https://www.keyence.co.jp/ss/products/3d-printers/agilista/products-info/support.jsp

そこで、水溶性のサポートを使う方法が考え出されました。このサポート材は、3Dプリンターで製品をつくったあと水洗いすることで簡単に除去できます。昔ながらの刺繍も、最先端のプリンターも課題解決の考え方は同じなのです。

ブラザー
https://www.brother.co.jp/product/hsm/special/seesew/settyakushin_a/index.aspx

キーエンス
https://www.keyence.co.jp/ss/products/3d-printers/agilista/products-info/support.jsp

スポンジ状のゴム シヤチハタ印

シヤチハタは、塩を練りこんだゴムを煮ることでゴムから塩を取り除き、スポンジ状のゴムを作りしました。「シヤチハタ」の名で知られる浸透印に使われるゴムには、インクを通す小さな穴がたくさん開いています。

シヤチハタ(浸透印)に使われるインクが染み出すゴム
出典:https://sndc.design/wp/wp-content/uploads/2022/05/220429_SEN-610.jpg

このゴムを作るには、まず硬化前の液状のゴムに塩を練りこんで固めます。その後でこのゴムをお湯で煮て、内部の塩を取きます。そうすると、塩があった場所が穴になります。


この方法であれば、塩粒の大きさで穴の大きさをコントロールできます。また、塩の量で穴の数をコントロールすることが出来ます。シヤチハタのゴム印は表面の穴は細かく、内部の穴は大きくなっています。

後から除去できるものを仕込んでおくという解決方法です。

シヤチハタ株式会社
https://fun.shachihata.co.jp/labo/story/